いぼ痔の手術について

 

いぼ痔(=痔核)ができる原因として、①肛門の血管のうっ血②肛門をやわらかく閉じている、肛門クッションの支持組織が弱くなるため、などが考えられています。切除が必要となるような痔核は脱出を伴うことが多いですが、①痔核組織のみが脱出している場合、②粘膜のゆるみ(粘膜脱)を伴って痔核が脱出している場合があり、以下に示す方法を組み合わせることにより、様々なタイプの痔核に対し手術を行うことが可能となります。

<結紮切除術>

結紮切除術

痔核(いぼ痔)手術の基本となる方法です。「痔核を縦方向に切離し、根部を結紮後に痔核を切除」する方法です。切除した後の傷は外側まで完全には縫合せずに開けておきます(半閉鎖法)。サイズの大きな痔核の場合は外側に結紮切除、内側に硬化療法を併用することもあります。

<分離結紮法>

分離結紮法

分離結紮法は、古典的痔核結紮術や振分け結紮法とも呼ばれています。痔核の根部を糸で結紮し血流を途絶えさせることにより、組織を壊死に至らせ、痔核を脱落させる方法です。術後の痛みが強くならないように結紮する位置を調整しています。

<刺通結紮法>

刺通結紮法

痔核の脱出に直腸粘膜の緩みを伴う場合は、「粘膜をつまみ上げて根元を結紮」します。直腸脱のGant-三輪法に準じた「刺通結紮」という粘膜を縫い縮める方法です。緩みが強い場合は数カ所に実施します。

「いぼ痔が飛び出した!」と思って受診されると直腸粘膜脱のみが認められる場合があります。直腸粘膜脱には、粘膜の固定が部分的に緩んでいる不完全直腸脱と、直腸の全層が脱出する完全直腸脱があります。不完全型の場合は粘膜を縫い縮める手術を当院で行うことが可能です。完全型は成人ゲンコツ大の直腸粘膜が脱出することもあり、専門施設での手術をお勧めする場合があります。